解説記事 / glossary
ビットコイン用語集 & Script入門
ビットコインの重要用語とScript言語を解説。ブロック、ノード、PoW、UTXO、opcodeまで網羅。
約29分
記事概要
UTXO、nonce、mempool——知らない言葉は壁ではなく、Bitcoinという巨大な機械の部品名です。
理解の手がかり
博物館の見取り図と音声guideのように、用語を「お金」「鍵」「取引」「network」「Script」の展示室へ分けると迷いにくくなります。
比喩の限界
短い定義は入口であり、実装や文脈のすべてを表しません。似た用語でもprotocol上の役割が異なり、softwareの変更で詳細が変わる場合があります。
分からない用語で立ち止まらず、公式文書やblock explorerを自力で読み進める辞書が手に入ります。
用語で迷ったら →この記事の目次12章
01基本用語
ブロック(Block):検証済みトランザクションをひとまとめにした記録の単位。約10分ごとに新しいブロックが生成され、前のブロックと暗号学的に連結されます。
ブロックチェーン(Blockchain):各ブロックが前のブロックのハッシュを含むことで形成される連鎖。取引の検証と不可逆性を保証します。
ノード(Node):ビットコインネットワークに接続されたソフトウェア。フルノードはブロックチェーン全体を保持し、すべてのルールを検証します。
マイナー(Miner):新しいブロックを生成するためにハッシュ計算を繰り返すソフトウェア。成功するとブロック報酬を得ます。
メモリプール(Mempool):ブロックに含まれるのを待っている未確認トランザクションの一時保管場所。ノードごとに独立して管理されます。
ブロック高(Block Height):ジェネシスブロックを0として数えた、そのブロックのチェーン上の位置。半減期や仕様変更の発動条件など、日時ではなくブロック高で指定される事柄が数多くあります。
ジェネシスブロック(Genesis Block):2009年1月3日に生成された最初のブロック(ブロック高0)。コインベースにThe Timesの見出しが刻まれており、その50 BTCの報酬は実装上の扱いによって使用できません。
02暗号学関連用語
ハッシュ(Hash):暗号学的ハッシュ関数の出力。任意のデータから固定長の「指紋」を生成します。同じ入力からは常に同じ出力が得られますが、出力から入力を逆算することは不可能です。
Proof of Work(作業証明):「高コストだが検証は容易」なデータ。ビットコインではHashcashシステムを採用し、ブロックのハッシュが特定の閾値を下回ることを要求します。
ナンス(Nonce):ハッシュの結果を変えるために使われる、それ自体は意味のない数値。マイナーはナンスを変えながら条件を満たすハッシュを探します。
マークルルート(Merkle Root):ブロック内の全トランザクションのハッシュを再帰的にまとめた単一のハッシュ値。ブロックヘッダーに含まれ、データの改ざん検出に使われます。
難易度(Difficulty):2,016ブロックごと(約2週間)に調整される、ブロック生成の難しさを表すパラメータ。ネットワーク全体のハッシュレートに応じて自動調整されます。
Schnorr署名(Schnorr Signature):Taproot(BIP-340)で導入された署名方式。ECDSAより検証が単純で、複数の鍵と署名を1つにまとめる集約が数学的に素直に行える点が特徴です。
03マイニング関連用語
マイニング(Mining):ブロックヘッダーの値を変えながら繰り返しハッシュを計算し、難易度の目標値を下回るハッシュを探す作業。最初に見つけたマイナーが次のブロックを提案でき、取引の順序づけと新規発行が同時に行われます。
ハッシュレート(Hash Rate):ネットワーク全体が1秒あたりに試行するハッシュ計算の回数。直接は観測できないため、実際のブロック生成ペースと難易度から推定される値です。EH/s(1秒あたり10の18乗回)などの単位で表されます。
難易度調整(Difficulty Adjustment):2,016ブロックごとに、その期間に実際かかった時間と目標の20,160分(14日)を比較して難易度を再計算する仕組み。1回の調整幅は4倍・4分の1までに制限されており、ハッシュレートが変動してもブロック生成間隔は平均約10分に保たれます。
ASIC(Application-Specific Integrated Circuit):SHA-256の計算だけに特化して設計された専用チップ。汎用のCPUやGPUとは効率が桁違いで、現在のマイニングはASICが前提になっています。
マイニングプール(Mining Pool):複数のマイナーが計算力を持ち寄り、ブロックを見つけた際の報酬を貢献度に応じて分配する仕組み。個々のマイナーの収入のばらつきを抑える一方、ブロックの構成を決める権限がプール運営者に集まりやすい点は分散性の論点として繰り返し議論されています。
ブロック報酬(Block Reward):マイナーがブロックを作った対価として受け取るもので、新規発行分(サブシディ。2024年の半減期以降は3.125 BTC)と、そのブロックに含めた取引の手数料の合計を指します。新規発行分は半減期ごとに減り、最終的には手数料だけが残ります。
04トランザクション関連用語
トランザクション(Transaction):ビットコインの送金記録。入力(UTXOの消費)と出力(新しいUTXOの作成)で構成されます。
UTXO(Unspent Transaction Output):未使用のトランザクション出力。ビットコインの「残高」は、あるアドレスに紐づく全UTXOの合計です。口座残高モデルとは根本的に異なります。
コインベース(Coinbase):ブロックの最初のトランザクション。マイニング報酬を含み、入力にはマイナーが自由にデータを埋め込めます。ジェネシスブロックのタイムズ見出しもここに記録されました。
確認(Confirmation):その取引を取り込んだブロックと、その上に積まれたブロックの合計数。取り込んだブロック自身を1と数えるため、ブロックに入った時点で1確認です。6確認で「最終的に確定」とみなされるのが慣例です。
二重支払い(Double Spending):同じコインを2回使おうとする行為。ビットコインのコンセンサスメカニズムがこれを防止します。
取引手数料(Transaction Fee):トランザクションに添付する任意の手数料。マイナーが優先するのは手数料の総額ではなく、サイズあたりの手数料「率」(sat/vB)です。同じ率なら、送る金額の大小は優先度に影響しません。
Witness(ウィットネス):SegWitで本体から分離された、署名や公開鍵などの解錠データ。トランザクションID(txid)の計算対象から外れるため、署名を書き換えてIDだけを変えてしまう展性(malleability)の問題が解消されました。
vB / WU(仮想バイト・ウェイトユニット):ブロック容量を測る単位。witness以外のデータは1バイトを4 WU、witnessデータは1バイトを1 WUとして数え、ブロックの上限は4,000,000 WU(=1,000,000 vB)です。1 vB = 4 WU の関係にあり、SegWit取引の手数料が割安になるのはこの数え方によります。
nLockTime / nSequence:nLockTimeはトランザクション全体が有効になるブロック高または時刻を指定するフィールド。nSequenceは入力ごとのフィールドで、RBFの意思表示やOP_CHECKSEQUENCEVERIFYによる相対タイムロックに使われます。
PSBT(Partially Signed Bitcoin Transaction):未署名・部分署名のトランザクションを、ウォレットや署名機器のあいだで受け渡すための標準フォーマット(BIP-174)。ハードウェアウォレットでの署名や、マルチシグの署名収集に使われます。
05ネットワーク関連用語
メインチェーン(Main Chain):有効なチェーンのうち、積み上がった作業量の累計が最も大きいもの。「最長のチェーン」と呼ばれることが多いですが、ノードが比べているのはブロックの本数ではなく累積作業量(nChainWork)です。
オーファンブロック(Orphan Block):親ブロックが不明なブロック。ステイルブロック(Stale Block)は、かつてメインチェーンの一部だったが現在は含まれないブロックです。
再編成(Reorg):累積作業量がより大きいチェーンが見つかったときに、ノードがそちらへ乗り換えること。通常は1〜2ブロック程度の小規模な再編成が自然に発生します。
シードノード(Seed Node):初回起動時に接続先を見つけるための足がかりとなるノード。既定ではまずDNSシード(クライアントに組み込まれたドメイン名を問い合わせてピアのアドレス一覧を得る仕組み)を使い、そこから応答が得られない場合にかぎって、ハードコードされたIPアドレス一覧(fixed seeds)にフォールバックします。
SPV(簡易検証 / Simplified Payment Verification):ブロックチェーン全体ではなく、ブロックヘッダーと該当取引のマークルパスだけを検証する方式。ホワイトペーパー第8章で示され、軽量ウォレットの基礎になっています。取引の有効性を自分で検証しない分、最も作業量が積まれた連鎖を信頼する前提に立ちます。
Satoshi(サトシ):ビットコインの最小単位。1 satoshi = 0.00000001 BTC。ビットコインの創始者にちなんで名付けられました。
06Bitcoin Script とは
Bitcoin Scriptはビットコインのトランザクションを制御するプログラミング言語です。Forth言語に似たスタック型の言語で、意図的にチューリング不完全(ループなし)に設計されています。
スクリプトは2つの部分で構成されます。scriptPubKey(送金先の条件を設定)と scriptSig(条件を満たす入力を提供)。実行が完了し、スタックの先頭がtrue(非ゼロ)であればトランザクションは有効です。
SegWit以降は、第3の構成要素としてwitnessが加わります。P2WPKHやP2TRではscriptSigは空のままで、署名・公開鍵・実行するスクリプトはすべてwitnessに置かれ、そこから解錠条件が評価されます。
この設計により、「特定の秘密鍵の所有者だけがコインを使える」「複数人の署名が必要」「一定時間が経過しないと使えない」など、柔軟な送金条件をプログラムできます。
チューリング不完全な設計は意図的です。無限ループやリソース枯渇攻撃を防ぎ、すべてのスクリプトが有限時間で完了することを保証しています。
07標準トランザクションタイプ
P2PKH(Pay-to-Public-Key-Hash):最も一般的な形式。公開鍵のハッシュと一致する公開鍵と、対応する署名を要求します。ビットコインアドレスが「1」で始まるものがこのタイプです。
P2SH(Pay-to-Script-Hash):スクリプトのハッシュに対して送金する形式。マルチシグやより複雑な条件を実現できます。アドレスは「3」で始まります。
P2WPKH / P2WSH(SegWit):Segregated Witnessを利用した形式。署名データをトランザクション本体から分離し、ブロック容量の効率化を実現。アドレスは「bc1q」で始まります。
P2TR(Taproot):2021年に有効化された形式で、利用者が受け取りに使うアドレス形式としては現行で最も新しいものです。Schnorr署名とMAST(Merklized Abstract Syntax Tree。Taprootの文脈ではMerklized Alternative Script Treesとも呼ばれます)を組み合わせ、プライバシーと効率を高めました。アドレスは「bc1p」で始まります。なおBitcoin Core 28(2024年)ではP2A(Pay-to-Anchor)が新たな標準出力形式として認識されるようになりましたが、これは手数料調整のための特殊な出力であり、受け取り用のアドレス形式ではありません。
OP_RETURN:使用不可能な出力を作成するオペコード。データの埋め込みに使用されます。UTXOセットを汚染しない方法でメタデータをブロックチェーンに記録できます。データ部のサイズはコンセンサスルールではなくノードのリレーポリシーで扱われ、長年その既定上限は約80バイトでしたが、Bitcoin Core v30(2025年)で既定の上限が大幅に引き上げられ、実質的に撤廃されました(ノードごとに設定可能)。
08主要なオペコード
暗号操作:OP_SHA256(SHA-256ハッシュ)、OP_HASH160(SHA-256 + RIPEMD-160の二重ハッシュ)、OP_CHECKSIG(署名検証)、OP_CHECKMULTISIG(マルチシグ署名検証)。ただしOP_CHECKMULTISIGはTaprootのスクリプト環境(tapscript、BIP-342)では無効化されており、そこでは署名検証の成功数をスタック上で足し込むOP_CHECKSIGADDを使います。
スタック操作:OP_DUP(スタック先頭の複製)、OP_DROP(先頭の破棄)、OP_SWAP(先頭2つの入れ替え)。
フロー制御:OP_IF / OP_ELSE / OP_ENDIF(条件分岐)、OP_VERIFY(検証失敗時にスクリプト中断)。
タイムロック:OP_CHECKLOCKTIMEVERIFY(絶対時刻ロック)、OP_CHECKSEQUENCEVERIFY(相対時間ロック)。Lightning Networkの基盤技術です。
無効化されたオペコード:OP_CAT(文字列連結)やOP_MUL(乗算)など、2010年に一括で無効化されたオペコード群があります。個々に不具合が確認されたからではなく、想定外の挙動やリソース消費を避けるための予防的な措置でした。OP_CATについてはtapscriptでの再有効化がBIP-347として提案されていますが、2026年時点でアクティベートされていません。新しいオペコードの追加はソフトフォークにより慎重に行われます。
09プロトコル・アップグレード関連用語
BIP(Bitcoin Improvement Proposal):ビットコインの仕様変更や標準を提案・記録するための文書形式。番号で管理され、BIP-32(HDウォレット)、BIP-39(シードフレーズ)、BIP-141(SegWit)のように参照されます。BIPはあくまで提案であり、番号が付いていること自体は有効化を意味しません。
ソフトフォーク(Soft Fork):ルールを狭める方向の、後方互換なアップグレード。新ルールで作られたブロックは旧バージョンのノードからも有効に見えるため、全ノードの同時更新を必要としません。SegWitもTaprootもソフトフォークとして導入されました。
ハードフォーク(Hard Fork):旧ルールでは無効なブロックを有効とする、後方互換でないアップグレード。更新しないノードとはチェーンが分かれるため、広い合意が得られない場合はBitcoin Cashのように別チェーンへの分裂に至ります。
SegWit(Segregated Witness):2017年8月に有効化されたソフトフォーク(BIP-141)。署名データ(witness)をトランザクション本体から切り離して数え方を変えることで実質的なブロック容量を広げ、取引展性を解消してLightning Networkの前提を整えました。
Taproot(タップルート):2021年11月に有効化されたソフトフォーク(BIP-340 / 341 / 342)。Schnorr署名・MAST・tapscriptを導入し、単純な送金と複雑な条件付き送金をチェーン上で見分けにくくしました。
10セキュリティ概念
51%攻撃:ネットワークの計算力の過半数を支配する攻撃。自分の取引を巻き戻したり、他の取引の確認を妨げたりできますが、他人のコインを盗むことはできません。
シビル攻撃(Sybil Attack):大量の偽ノードを作成してネットワークを操作する攻撃。ビットコインでは、自分から張る接続を同一の/16サブネットにつき原則1本までに制限する、ピアのアドレス帳を複数のバケットに分散させる、ブロックのみを中継する接続を併用するといった多層的な工夫で緩和しています。
レース攻撃(Race Attack):同じ資金を使う2つの取引をほぼ同時に流し、商店には支払い用、自分には送り返す用を届けようとする0確認向けの二重支払い攻撃。商店側は数秒待って矛盾する取引が流れてこないかを観測する、ネットワーク接続の良い(well-connected)ノードで受信する、外部からの着信接続を受け付けないといった対策で、ある程度リスクを下げられます。
フィニー攻撃(Finney Attack):あらかじめ自分宛ての取引を含むブロックを採掘して伏せておき、同じ資金を商店に0確認で支払った直後にそのブロックを公開して支払いを無効化する攻撃。材料が事前に採掘されたブロックである以上、商店側がネットワークを観測しても検知できず、数秒待つ・接続を工夫するといったレース攻撃向けの対策では消せません。確認を待つ以外に確実な防御はありません。
ベクター76攻撃(Vector76 Attack):レース攻撃とフィニー攻撃を組み合わせ、伏せておいたブロックを標的のノードにだけ直接送りつけて1確認を偽装する攻撃。0確認だけでなく1確認でも受け入れを急ぐべきでない理由として挙げられます。
タイムジャッキング:ノードの時刻認識を操作して、ブロックの有効性判定に影響を与える攻撃。Bitcoin Coreはピアから得た時刻によるずれを±70分までに制限し、さらにBIP-113によってタイムロックの判定を直近11ブロックの中央値時刻(MTP)で行うため、単一のピアの申告で時計をずらすことはできません。
DoS攻撃(サービス妨害):ノードに大量のデータを送信して機能を妨害する攻撃。ビットコインクライアントは、メッセージサイズの上限、不正な振る舞いをしたピアの切断とBAN、接続数と帯域の制限、リクエストのレート制限などを組み合わせた多層防御で対処しています。
11ウォレット・保管関連用語
アドレス(Address):ビットコインの受取先を表す文字列。公開鍵やスクリプトから導出され、そのコインを使うための条件を符号化しています。形式によって先頭が「1」「3」「bc1q」「bc1p」と異なります。
秘密鍵(Private Key):コインを使うための署名を作れる唯一のデータ。事実上ランダムな巨大な数値であり、これを知っている人がそのコインを動かせます。
公開鍵(Public Key):秘密鍵から一方向の計算(楕円曲線暗号)で導かれる鍵。公開鍵やそのハッシュがアドレスの元になり、署名の検証に使われます。既知の古典計算では、公開鍵から秘密鍵を実用的に逆算する方法は知られていません。十分に大規模な誤り訂正付き量子計算機が成立した場合のShorリスクは、独立記事「量子コンピュータはビットコインを壊すのか」で扱います。
Base58Check / Bech32・Bech32m:アドレスの文字符号化方式。「1」「3」で始まる旧来のアドレスはBase58Check、「bc1q」で始まるSegWitアドレスはBech32(BIP-173)、「bc1p」で始まるTaprootアドレスはBech32m(BIP-350)で符号化されます。いずれも打ち間違いを検出するチェックサムを内蔵しています。
シードフレーズ(Seed Phrase):ウォレットのバックアップとなる単語列。BIP-39では12・15・18・21・24語の5通りが定義されており、実際に広く使われているのは12語と24語です。この列からウォレット内のすべての秘密鍵を再生成できます。
パスフレーズ(Passphrase):シードフレーズに任意で追加できる追加の秘密文字列(俗に「25語目」)。加えると別のウォレットが生成されるため、忘れると復元できなくなります。
HDウォレット(Hierarchical Deterministic Wallet):1つのシードから階層的に無数の鍵とアドレスを導出する方式(BIP-32)。受け取りのたびに新しいアドレスを使えるのは、この仕組みによるものです。
ホットウォレット(Hot Wallet)/コールドウォレット(Cold Wallet):秘密鍵をインターネットに接続された環境で扱うのがホット、完全に切り離して扱うのがコールドです。利便性と安全性のトレードオフになります。
ハードウェアウォレット(Hardware Wallet):秘密鍵を専用デバイス内に保管し、署名もデバイス内部で行う機器。鍵が汎用のPCやスマートフォンに露出しないため、コールド保管の代表的な実装です。
ペーパーウォレット(Paper Wallet)・スチールウォレット(Steel Wallet):鍵やシードフレーズを紙に印刷、あるいは金属板に刻印して保管する方法。どちらも完全オフラインですが、紙は火災や劣化に弱く、金属はその弱点を補うために使われます。
マルチシグ(Multisig / マルチシグネチャ):n個の鍵のうちm個の署名がそろわないと使えない設定。鍵を1本失っても資金を失わない冗長性を作れます。
カストディアル/ノンカストディアル(セルフカストディ):秘密鍵を取引所などの第三者が預かるのがカストディアル、利用者自身が持つのがノンカストディアル(自己管理)です。後者は完全な管理権と同時に、全責任も伴います。
KYC(Know Your Customer / 本人確認):取引所などの事業者が利用者の身元を確認する手続き。マネーロンダリング対策として各国で義務づけられており、その口座を通じて使われたアドレスは実名と結びつきます。
CoinJoin(コインジョイン):複数の利用者の入力と出力を1つのトランザクションにまとめ、どの入力がどの出力に対応するかを外部から判別しにくくする手法。共同で1つの取引を作るだけで、資金の管理権は各自が持ったままです。
12エコシステム・市場関連用語
半減期(Halving):210,000ブロックごと(約4年)にマイニング報酬が半分になる仕組み。2024年の4回目の半減期で、報酬は3.125 BTCになりました。
ライトニングネットワーク(Lightning Network):支払いチャネルとHTLCを使い、ブロックチェーンの外で即時・低コストの送金を行うレイヤー2。チャネルの開設と閉鎖のみがオンチェーンに記録されます。
HTLC(Hash Time-Locked Contract):「特定のハッシュの元データ(プリイメージ)を示せば受け取れ、示せなければ一定時間後に送り手へ戻る」という条件付きの支払い。Lightning Networkの多段ルーティングで、中間ノードを信頼せずに経路全体をまとめて成立させるために使われます。
レイヤー1/レイヤー2(Layer 1 / Layer 2):レイヤー1はビットコインのベースチェーンそのもの、レイヤー2はその上に構築され、最終的な決済結果だけをベースチェーンに書き戻すプロトコル群を指します。
サイドチェーン(Sidechain):ビットコインと双方向ペグで結ばれた別のチェーン。独自のコンセンサスとブロック生成を持ち、Liquidが代表例です。
オンチェーン/オフチェーン(On-chain / Off-chain):ブロックチェーンに直接記録される取引がオンチェーン、レイヤー2や事業者の内部帳簿で処理される取引がオフチェーンです。
オーディナルズ(Ordinals)・インスクリプション(Inscription):個々のサトシに通し番号を与える考え方と、その番号付きサトシにデータを刻み込む行為。プロトコル変更なしに実現され、Runesなどのトークン規格へ発展しました。
ステーブルコイン(Stablecoin):法定通貨などに価値を連動させることを目指す暗号資産。日本では改正資金決済法の「電子決済手段」として規制され、国内で発行できるのは銀行・資金移動業者・信託会社に限られます。海外発行分については、日本の法制度との同等性が確保された外国法令に基づく信託受益権を電子決済手段として扱う内閣府令改正が2026年5月19日に公布・同年6月1日に施行され、国内の電子決済手段等取引業者を通じた取扱いの基準が整理されました(「発行できるのは国内3業態のみ」だけでは実態を読み違えます)。
CBDC(中央銀行デジタル通貨):中央銀行が自ら発行するデジタル形式の法定通貨。発行主体と管理者が中央に存在する点で、発行者を持たないビットコインとは設計思想が異なります。
ビットコインETF(上場投資信託):ビットコインの価格に連動する上場投資商品。現物を保有する現物ETFと、先物取引で連動させる先物ETFがあり、米国では2024年1月に現物ETFが承認されました。
CEX/DEX(中央集権型取引所/分散型取引所):CEXは事業者が資産を預かり本人確認を行う取引所、DEXは第三者に預けずにプロトコル上で交換する仕組みです。ビットコインそのものの非カストディアルな交換手段としては、アトミックスワップなどが用いられます。
RBF(Replace-By-Fee):未確認のトランザクションを、同じ入力を使うより手数料の高いトランザクションに置き換える仕組み。長らくBIP-125のオプトイン(nSequenceで置き換え可能と示した取引だけが対象)でしたが、Bitcoin Core 28.0(2024年)でmempoolfullrbfの既定値が変更され、シグナルの有無によらず置き換えを中継するfull-RBFが既定になりました。手数料が低すぎて確認が進まないときの救済策です。
CPFP(Child-Pays-For-Parent):低い手数料で滞留している取引の出力を使い、高い手数料の「子」取引を作る手法。マイナーは親子をまとめて取り込む動機を持ちます。
sat/vB(サトシ・パー・バイト):手数料率を表す単位で、仮想バイト(vB)あたり何サトシ払うかを示します。手数料の総額は「手数料率 × 取引サイズ」で決まるため、送る金額の大小そのものは手数料に影響しません。
ダスト(Dust):使おうとすると手数料の方が高くつくほど少額なUTXO。多くのノードやウォレットには、この水準を下回る出力を扱わないためのダスト閾値があります。少額を送りつけてアドレス同士の関連を推測する「ダスティング攻撃」という手口も知られています。
トラベルルール(Travel Rule):FATFの勧告に基づき、暗号資産の送金時に送付人・受取人の情報を事業者間で共有することを求める規制。各国で実装が進められています。
ヴァージンビットコイン(Virgin Bitcoin):マイニングで生成されてから一度も使用されていないブロック報酬。規制上の理由から、取引履歴のないコインとして注目されることがあります。ごく限られた文脈でしか使われない用語のため、本用語集では末尾に付録的に置いています。
主な参照元
次に読む
ビットコインの匿名性とプライバシー約13分関連トピック
さらに深める
引用情報 / Citation
- Title
- ビットコイン用語集 & Script入門
- Source
- ビットコイン図書館 (bitcoin.ne.jp)
- Canonical URL
- https://bitcoin.ne.jp/learn/glossary
- Author
- KK siiiiiixth
- Topic
- glossary
- Published
- Updated
- 最終検証 / Last verified
- Editorial policy
- https://bitcoin.ne.jp/editorial-policy
- About
- https://bitcoin.ne.jp/about
- License
- 教育目的の引用・要約・索引・AI 学習 すべて許諾
この記事は引用・要約・索引・AI 学習・回答エンジンでの参照を歓迎します。引用時は上記 canonical URL をご利用ください。
変更履歴 / Revision history
- 公開鍵から秘密鍵への逆算を古典計算の実用困難性として限定し、将来の誤り訂正付き量子計算に対する絶対表現を解消。
- 定義 16 件を一次仕様に照合して是正、レース攻撃ほか約 20 語を追加